ものものしい

買いたいものとか買ったものとかについて大騒ぎします

きのう何食べた?7巻、大奥。2012年12月は「しのぶ」祭り/今月買う漫画とか

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)


きのう何食べた?」の7巻は、うどん食べながら読んでたんだけど、途中胸に詰まるシーンがあって、うどんが鼻から出そうになった。

 マイノリティであるケンジが、そうでない者にとってはあまりにも普通のこと
ー恋人の親に紹介される、だとか一緒にカフェに行く、だとかそういうことー
に、泣くほど喜ぶ、と言うことがあまりにも切実で、苦しくて、泣けた。


 同シーン。寄り添うゲイ二人に「気持ち悪い」と野次が飛ぶ。胸が詰まったのは、その野次とは全く関係なくて、むしろ「マイノリティであるということ」はそこまでのエピソードで充分すぎるほど説明できているのだし、ちょっと「盛りすぎ」なんじゃないかな、と読んだときは思ったのだけど、一晩考えてみたら、あれが、ああいう野次を入れることが、青年誌でゲイを描く、ということのバランスなのかもしれないな、と思った。

そんなわけで、12月のマンガ・本の購入事情。
大奥は既に買ったんだけど、12月は気になるマンガ、好きなマンガが次々と発売されて嬉しい悲鳴。

■12/8
リバーサイド・ネイキッドブレッド 有間しのぶ

リバーサイド・ネイキッドブレッド (Feelコミックス)

リバーサイド・ネイキッドブレッド (Feelコミックス)


連載中から気になっていたので購入予定。有間しのぶは、まとめて読むのが初めてなので楽しみ。

12/10
いいなりゴハン 1 (ヤングジャンプコミックス)  森繁拓真
IPPO 1 えすとえむ
町でうわさの天狗の子 10  岩本ナオ

12/13
ちはやふる(19)  末次由紀
一緒に遭難したいひと 4  西村しのぶ
しのぶ祭りの、一端を担う、念願の一緒に遭難したい人最新刊。

12/14
3月のライオン 8 羽海野チカ

前巻、むちゃくちゃ泣けましたよね……。いや、他の人は知らないですけど、私は泣けたんですよね。子供の抱える問題に、大人が、なんとか対処しようとするのが、どんなに辛く哀しい事があっても、大人が出来る事で、現実的に道を広げてあげようとするのが、羽海野作品のすばらしいところであり、希望でもあります。

アノネ、(上)   今日マチ子

今日マチ子が、わりと社会的・歴史的問題に取り組んでいるのが、結構好きなんですよね。cocoonも良かったし。残酷で苦しいんだけど眼をそらさせない感じ。
COCOON

COCOON



12/21
げんしけん 二代目の四(13) 木尾士目
リーチマン(2) 米田達郎

12/24
大東京トイボックス (9) うめ

今年のマンガ大賞、2位は本当に嬉しくて、だってすごく丁寧で勢いのある物語ですから、夢中になって読んでいます。
あらすじみて、気になって、twitterで「買ってみようかな」と呟いたら、うめさんご本人から、返信があったんですよね。で、買ってみたんですけど。本当にあたりでした。

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購入予定のマンガとはちょっと違うのですが、先日、ずっと欲しいと思っていたマンガファッション(竹村真奈)を購入しました。

まんがファッション

まんがファッション



少女マンガの「ファッション」にスポットを当てた本なのですが、ほぼマンガ家さんのインタビューで構成されており、その人選が私にはドンピシャで。一条ゆかりをはじめとして、羽海野チカ西村しのぶいくえみ綾安野モヨコ水城せとな、陸奥A子、と微妙にファッションのカテゴリーをずらしながら、キャラクターメイキングの話を聞いてみたい人、が並んでおり、大変興味深かったです。

特に好きなのは、羽海野チカさんのインタビュー。男の子の魅力のくだり。

「男の子の魅力は『持っている力を全力で出そうとしているか』だと私は思うんです。それが『ライオン』のファッションにおけるテーマでもあります。だから、島田さんみたいにガリガリで頭が薄くても、たぶん一番人気があるし。二階堂くんも病気で太めさんですけど、彼の悪口を見た事ないです」
ーーまんがファッションより引用

そーだったそーだった。羽海野さんが描く、島田さんも二階堂くんも一般的には「格好悪い」容姿なんだった。
とにかく二人がチャーミングなもんで忘れていたよ。

いやいや、そうはいってもかわいい絵だよ、かっこ良く見せてるよ、と一瞬思うけど、いやいやいやいや。
羽海野チカさんが、本気で「かっこいい見た目を描こう」と考えて書いたら、その方向にもっとかっこいい絵が出てくるんじゃないですかね。島田さんは、くたびれた、哀愁漂う、もっとしゅっとしても良かっただろうし、二階堂君だって、太らせなくてもいいんじゃないですか?

でも、島田さんは薄毛で三白眼気味で、いつも目元に縦線が入ってて、二階堂君のスーツはぱつぱつで指は芋虫みたいで、でもどうしよう。むちゃくちゃかっこ良く見えてる。伝わってる。

容姿を越えた格好良さ、というものを、羽海野チカはマンガと言う手法で伝えようとしていて、そしてそれが伝わってるから、彼らは人気があるってことですよね。どうしよう。伝わる、ということのすばらしさに、泣けてきます。

 他にも、描くのに苦労したという桐山君のダッフルが商品化されて、装苑で特集組まれてる、と言う状況も感慨深い。

そもそも、「3月のライオン」に関して、羽海野チカはとにかく「おしゃれにみえないこと」「ファッショナブルに見えない事にこだわった」と言うようなことを言っていて、その理由はぜひ本文を読んでいただきたいのですが、そうやって「見た目のおしゃれじゃなくて、人としての格好良さを紙に描こう」とやってみたら、それがちゃんと伝わった、ってやっぱり凄いよ。

絵で、ちゃんとそのかっこよさが伝わってて、リアルクローズとして機能する説得力があるっていうのが。いや、羽海野チカの絵が上手いのはみんな知ってることだけど!

マンガ好きさんには、ぜひお勧めしたい一冊です。